男性更年期障害とフタル酸エステル(1)~フタル酸エステルが人体にもたらす影響~
5月 28, 2025フタル酸エステルとは?
フタル酸エステルという物質をご存知でしょうか?フタル酸エステルとは、プラスチックを柔らかくするために使われる化学物質の総称です。とくにポリ塩化ビニル(PVC)などの可塑剤として広く使われています。そのほかに、香料の固定や、接着剤、塗料にも使用されています。実際にどのようなものに使用されているかというと、
- ビニール床材、壁紙
- おもちゃ、風船、ビニールバッグ
- 電気コードの被膜
- 化粧品・香水(香料の保持に使われることも)
- 医療機器(点滴チューブ、血液バッグなど)
一例ですが、主にこのような製品に使用されています。

健康や環境に及ぼす影響
一部のフタル酸エステルには、内分泌かく乱作用(環境ホルモン)があり、人体や動物のホルモンバランスに影響を与える可能性があります。
主な健康への影響があると懸念されているものが以下となります。
1. 内分泌かく乱作用(環境ホルモン作用)
- フタル酸エステルの中には、男性ホルモン(テストステロン)の作用を阻害するものがあります。
- 特に胎児期に暴露されると、男児の生殖器の発達に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。
📌 関連症状・所見:
- 陰嚢が小さい、尿道下裂、精巣が下降しない など
- 成長後の精子数の減少や不妊リスクの上昇
2. 神経発達への影響
- 一部の研究では、妊娠中のフタル酸エステル暴露と、子どもの注意欠陥・多動症(ADHD)様の行動との関連が示唆されています。
- 記憶力や言語発達にも影響がある可能性が報告されています。
3. アレルギー・喘息リスクの増加
- フタル酸エステルが空気中に蒸発しやすいため、室内空気の汚染源になりうる。
- これが喘息やアレルギー性疾患の増加と関連しているとする研究もあります。
4. 肝臓や腎臓への負担
- 高濃度での長期曝露では、肝臓肥大・肝機能障害、腎機能への悪影響が動物実験で確認されています。
5. 発がん性の懸念(高用量・長期曝露)
ヒトでの明確な証拠はまだ限定的ですが、注意が必要とされています。
一部のフタル酸エステル(例:DEHP)は、動物実験で発がん性が報告されています。
オトコラボで、特に注視している影響
オトコラボで、特に注視したい影響は、1.の内分泌かく乱作用です。男性更年期障害の主な要因である、男性ホルモンの減少に大きく関わるのが、内分泌かく乱作用です。これは、男性ホルモンの生成や作用を妨げるという、ホルモンバランスを乱す働きがあります。細かな作用としては、以下の2つに分けられます。
1. テストステロンの分泌抑制
- フタル酸エステル(特にDEHPやDBPなど)には、精巣でのテストステロン産生を抑える作用があるとされています。
- これは胎児期や思春期など、ホルモンが重要な時期には特に深刻です。
2. アンドロゲン受容体の妨害
- アンドロゲン受容体(テストステロンが作用するための「スイッチ」)に結合し、本物の男性ホルモンの働きを邪魔する物質もあります。
フタル酸エステルの影響は胎児期から人体に影響を及ぼしますが、成人期に受ける影響が、特に男性更年期障害にかかわる働きをもたらします。
・精子数の減少:テストステロンが少なくなると精子の産生も低下
・性欲・性機能の低下:勃起不全、性欲減退などにつながる
・筋肉量・骨密度の低下:男性ホルモンの重要な役割が損なわれる
・気分障害:やる気の低下、抑うつ感の増加なども報告あり
このように、フタル酸エステルは男性ホルモンの生成や働きに悪影響を及ぼし、男性更年期障害の発症原因や、治療の妨げになってしまう可能性があります。フタル酸エステルからの影響を受けてしまうのはどういうときか?また、影響を受けないようにするには、どのような対策が必要かなど、次回の記事で紐解いていきたいと思います。

